最近、サウナ好きを公言する芸能人をよく見かける。
とんでもなく愛しているようで熱いプレゼンをかましてくるが、全く響かない私。
サウナなんて、灼熱地獄に閉じ込められての我慢大会だ。苦痛以外の何者でもなく、1分1秒が長い。
見かけると興味本位で入ってみることもあるが、やはり1分と持たないヘタレである。
・・・そんな私が突然サウナ活動に目覚め、意識高い期は週7通うほどになったので、自分でも驚き!
キッカケは同じマンションに住む友からの一言・・・。
私がホットヨガに通い出したと言うと、私も行こうかな!と乗ってきた彼女。
『でもスケジュール的に難しいんだよな。汗出したい、汗出したい・・・あっ!サウナがあるじゃない!!』
すっかり忘れていたが、徒歩圏内にサウナ施設がある。
確かにホットヨガもサウナも『汗を出したい!』というスローガンは同じ。
なんでも彼女、独身時代はサウナに通い詰めていたようで、誰よりも長く入ってやる・・・!という謎の試練を己に課し、苦痛の限界まで耐えていたという。(良い子は真似しちゃいかん)

こりゃ食わず嫌いせずにもう一度、サウナの門を叩いてみるか・・・。違う世界が見えるかもしれない。
ウズウズしてさっそく当日、サウナへ飛び込んだ私。
知ってはいたが、やはり安定の灼熱地獄。気を紛らわすものは何もない・・・。向き合うのは己の精神のみ。
熱い・・・熱い・・・他に考えが浮かばぬ。拷問である。
もしここに閉じ込められたら?どれくらい生き延びることができるかな・・・妄想が始まる、暇だからだ。
もし息子と一緒に閉じ込められたら?目の前で燃えたぎるサウナストーンをタオルで包んで、ガラスを割るしかない・・・!大火傷だが、生き残らねばならぬ。
そうしているうちに3分経過。たった3分だが、自分にとっての限界の向こう側へいけた。満足!
こりゃ精神と時の部屋に等しい。かなり強くなって出てきたぞ。
それにしても他の女性客は一体、何を考えながらあの部屋に留まっているのか。
立ち振る舞いからして常連に間違いなく、堂々としている。戦闘力も高そうで憧れた。
風呂に入っていると、マンションのお隣さんが脱衣所から入ってくるのが見える。
いつもビシッとメイクして高そうな服を着た、カッコいい女性(推定50代)なのだ。
スッピン&裸体となっていく姿の彼女に、声をかけるのも悪いよなぁ・・・。遠くから見守る私。そもそも私こそ、誰だか気付かれない姿だな。
意を決してもう一度、精神と時の部屋へ入る。
今回は思ったほど辛くはなく、またしょうもない妄想をしていたら5分ほど経過。
今日は初日、これぐらいにしといてやろう。ひとまず友人に報告、さっそくサウナ行ってきたぞ。
『羨ましい!!何分入った!?』
3分に5分の2セットで限界を迎えた。
『初回だし、十分よ!私はアホみたいに、12分✖️3セットとかやってたわ・・・』
ええっ!変態だ!12分を3セットなんて、ドMじゃなきゃできない。というか12分が無理。
『思えばサウナ信者の時、ひどい恋愛をしていたから、そこで考え事をしていたの(笑)』
なるほど・・・!心を慰めるためのサウナなのね。思えば私もひどい恋愛時、岩盤浴にばかり行っていたな。
汗を出す原理は同じだが、最も体にムチ打つサウナを選んだか、友よ。根性のある女だとは思っていたが、選ぶ施設から差が出ていたわ。
思えばこれまで、周りにサウナ愛好家がほぼいなかった。唯一の存在が、職場にいた中年男性のみ。
彼は健康を害するほど肥満しており、清潔感に欠く姿をしていたのだが、サウナに毎日通ってることは知っていた。
何でもスッキリするのだと・・・。
どこがスッキリできたのか全く外側からは判断できず、コッテリしたオッサンの社交場なイメージになっていたサウナ。
約20年の時を経て、まさか自分が彼のあとを追っていくとは・・・そして彼の気持ちが少しわかった。
ストレスレベルが何だか下がっている・・・!
喜怒哀楽でいうと『怒』と『哀』のパートが圧倒的に薄まっている、間違いなく。
エビデンス?そんなものはない。プラシーボ効果でも何でもいい、これは岩盤浴のときに感じた癒しに近しい。
夫がテレワークになった今がチャンス、サウナ活動させて頂こうではないか。
〜続く